どうして運動麻痺から勉強していくの?
良い質問だね。脳の役割は沢山あって、被殻の役割、小脳の役割、視床の役割、脳幹の役割など。厳密に言うと全ては繋がっているけど、簡単に考えた時に、被殻が障害された時は小脳の役割は障害されてないでしょ?ところが、どこを障害されても運動麻痺は起こる可能性があるんです!小脳は例外だけどね。その正体が皮質脊髄路と言うんだけど、だからまず初めに運動麻痺を勉強しておく必要があるんだよ。
運動麻痺は脳卒中を理解するうえで初めに理解しておく必要があるんだね!
まずは「運動」と「運動麻痺」に分けて考えてみます!
運動とは
人間は外界の状況に応じて適応し、行動する事が出来る。人間が外界に対して行う身体活動は、運動(movement)、動作(motion)、行為(action)に分類されます。
運動は、身体各部偉の空間的位置の変化、すなわち姿勢が連続的に変化したものを言います。
例:肩を90°屈曲、肩甲帯を前方突出、肘を完全伸展、前腕を回内、手指伸展屈曲など
動作は、運動によって達成された結果を指します。
例:上肢の前方リーチ、プレシェーピング、グラスプなど
行為は、動作の意図とそのときの状況によって定められた、社会的、文化的な意味と場面との関係性によって成り立ちます。
例:コップの水を飲むなど
動作や行為は随意的な運動だけでなく、反射を含めた種々に運動が組み合わさって身体の各筋が協調的に働き、機能的に組織化されて成り立っています。
運動とは、身体の各筋が協調的に働き、目的とする行為が正常に行えることを指します(空間的位置関係の変化)
運動麻痺とは
もうお分かりですかね?
上のポイントで述べた、身体の各筋が協調的に働き、目的とする行為が、正常に行えなくなることを運動麻痺と呼びます。
麻痺というのは、本来の活発な動きや働き(随意運動)が出来なくなることなんだね!
いきなりですがここで質問です。この方は運動麻痺を呈しているでしょうか?
答えは運動麻痺を『呈している』ですが、実は聞きたいところはそこではありません。どこを見て、運動麻痺があると判断しましたか?
痙性麻痺で代表的なウェルニッケマン肢位だし、それしか考えられないじゃん…
と思う方が多いかもしれません。実は大きな間違いです。なぜなら、痙性は筋緊張の異常で、運動麻痺とは全くの別物だからです。この場合は、「左半身の動かしにくさから杖を使用しているという事は、運動麻痺も呈している」という理解のみで十分です。
運動麻痺は目的とする行為が、正常に行えなくなること。その延長線上で、筋緊張の異常が起こりやすい!(筋緊張の異常については別で更新予定♪)
つまり、痙性麻痺で治療するべきところは、痙性と運動麻痺に分けて考える必要がある!
次は運動麻痺が生じる根本的な原因である、皮質脊髄路について説明していきます!
コメント